ste16: 科学技術教育について 16 議論のスキル(1)

教員の先生方の議論のイラスト。こちらから転載させて頂きました。

このシリーズでは科学技術分野に特化した教育論を論考しています。

今回は「議論のスキル」と銘打って論考してみます。

優れた研究開発機関では「議論」は重要な役割を果たすとされます。「重要」なのは議論の場には科学技術的知性、特に判断力や理性、を発揮する種が転がっているという貴重性があるからです。

ところが、私が属していた某組織では「議論」を避ける(あるいは、議論から逃げる)科学者・技術者がいたりしました。私にはこのスタンスが最後まで理解できなかったのですが、実在しました。様々な理由があるのでしょうが、不思議な感じが今でもしています。

それでは、まず、「議論」の意味を明確にしておきます。「討論」と区別する必要があるからです。グーグル日本語辞書を引いてみました。

「グーグル日本語辞書はOxford Languagesにより提供されています。Oxford Languagesは150年以上にわたり、世界50以上の言語の権威ある辞書を編集、発行してきた辞書を専門とする世界有数の出版社です。」とあり、Oxford University Pressともリンクがありましたので、信用していいかと思われます。

議論:自分の考えを述べたり他人の考えを批評したりして、論じ合うこと。その論の内容。」とあります。

一方、「討論:その問題について是非を議論すること。」とあります。ややそっけないので、Wikipediaに頼ると「一般的には一定の議題について意見を闘わせること」とあります。

私の理解では、議論は「参加者がある課題の解決に向けて相談すること」であり、討論は「参加者が別の参加者を打ち破るための会議」です。特に、科学技術的な議論は「参加者が同じ方向を向いて課題の解決に向けた提案や意見交換を行う」場と考えてよさそうです。参加者個々の「勝ち負け」は無いことになります。議論の中での発言の優劣はあるかもしれませんが、これが勝敗とはならないはずです。勝負を持ち込む場ではありません。

科学技術の理性と判断力の発揮は個人のものという立場を取ると、最後の場面では「個人の自然との対話」の成否が要点となり、そこでの知性の発揮が重要となります。しかし、その「最後の場面」に辿り着く試行錯誤についてその効率も鑑みる必要があります。人間の時間は有限であり、辿り着く時間は短ければ短いほどありがたいからです。

登山でいうところのアプローチの時間をなるべく短縮したい要望と通ずるところがあります。

その時間短縮の有効な手段が議論です。特に、レベルの高い相手との議論は有意義です。課題の整理や切り分けを、議論を通じて高度化できるからです。整理や切り分けが進むと知性が発揮しやすくなります。

科学技術教育という観点からは、議論のスキルを実戦の場に至る前に育成する必要がありそうです。次回は議論のスキルを育成する教育手法の実践例を調べてみたいと思います。

このシリーズはこちらに続きます(新しく投稿されるとそちらに飛びます)。また、このシリーズの第一回目はこちらです。

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