ste18: 科学技術教育について 18 議論のスキル(3)

米国のベル研究所。AT&Tの研究所だった頃は世界中から俊英が集まりました。カフェテリアでも紙ナプキンに数式を書いたり図を描いたりして議論が交わされたそうです。こちらから転載させて頂きました。

このシリーズでは科学技術分野に特化した教育論を論考しています。

前回は「議論のスキル」を明確にするために、ディスカッション(議論)のルールを記しました。

今回はディスカッションを効果的かつ建設的に進めるための「心構え」です。前回のルールに加えて、参加者全員が尊重され、意見が活発に交換される環境を作るために役立つそうなので、ご案内してみたいと思います。

なお、ここでも「科学技術的なディスカッション」に的を絞ってあります。

2)科学技術のディスカッションの場面での心構え
a)科学的誠実
 データの改ざんや偏見を避け、客観的かつ透明性のある議論を心がけるべき。自分の仮説に固執せず、反証可能性を受け入れることも必要。

b)好奇心と探求心
 新しいアイデアや未知の領域に対してオープンであり、質問を通じて知識を深める姿勢を持つことが求められる。

c)協調と専門性の尊重
 科学技術の議論は多分野にわたることが多いため、異なる専門分野の参加者の意見を尊重し、統合的な視点を持つ必要がある。

d)問題解決志向
 技術的課題や障害に対して、解決策を模索する前向きな姿勢を維持する。例として「この実験の失敗原因を分析し、次にどう改善するか」に焦点を当てるなど。

e)継続的学習
 最新の研究や技術動向を把握し、議論に反映する。必要に応じて、外部の情報(論文、特許、業界動向)を参照する。


現場の科学者や技術者にとってはこれらも当たり前過ぎることですが、ある種の状況下では当たり前でない人もいるようです。

また、万人が「笑顔」でこれらの心構えを実践できる訳でもないというのが私の経験です。

さらに、本シリーズの「科学技術教育」という観点からは、育成年代の教育に如何様に落とし込むと適切なのかを考える必要があります。

実際、私自身が(大昔ではありますが)これらを体得したのは大学院の学生となってから以降でした。徒弟制度的な環境の中で自力で獲得したという記憶です。

私の体験的印象としては、方針や環境の多種多様な徒弟制度に身を投じる前に、育成年代で土台として身につけておく、あるいは、体験しておく基礎のように思われます。

ただし、具体的な教育手法が想起されるかと言えば、「難しい」としか答えようがありません。というのは、かなり突き詰められた場面で問われることの多い「心構え」だからです。育成年代の若者が「真剣に科学技術的課題に取り組む」場面が数多く提供されればと願うのみです。

皆さまはどう思われますか?

このシリーズはこちらに続きます(新しく投稿されるとそちらに飛びます)。また、このシリーズの第一回目はこちらです。

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