
リニア新幹線の品川駅の模式図(再掲)。こちらから転載させて頂きました。

上野駅の地下3階(上のピンク色)と新幹線ホームのある地下4階(下の青色)。こちらから転載させて頂きました。
本シリーズではリニアモーターカーの分析研究を進めています。
前回はリニア新幹線のターミナル駅である品川駅の概要を調べ、論考もしました。
今回は品川駅での主要な乗り継ぎとなるであろうリニア新幹線ホームから山手線ホームへの移動時間(乗り継ぎ時間)を試算してみます。
既に、東海道新幹線から山手線への乗り継ぎには5分から10分が必要である旨を調べました。私の品川駅実体験からも「そのくらいはかかるだろう」という感じです。
さて、多くの人が利用するであろうエスカレーターに注目します。エレベーターは必ず待ち時間が生ずるので、最悪の場合は、往復時間と乗り降りの時間が必要となります。成田空港の鉄道駅コンコースから出発階へのエレベーター移動を例に参考すると、平均でも数分以上かかりそうです。今回はエレベーターを割愛します。
そのエスカレーターですが、日本経済新聞の記事によると二つのホームに対して38台のエレベーターを設置予定とのこと。
一般に、下車した乗客が一度に利用する下り用の台数が下り用よりも多いのが通例ですが、単純な2対1とできる3の倍数と記事の38台は異なります。
また、ロシアの地下鉄駅や千代田線の新御茶ノ水駅のような1台が長いエスカレーターとなるのか、デパートのように階ごとに向きを変えて乗り換える多段式エスカレーターになるのか、上記の記事だけでは判別できません。
仕方がないので、ここでは、地下4階に新幹線ホームのある上野駅と同様の構成となるものと考えてみることにします。それでもかなり複雑ですが、、。
上野駅の二つの新幹線ホームに辿り着くためのエスカレーターは全部で17台あります。奇数ですが、途中の地下3階で統合されているので二つのホーム間のバランスは保たれているようです。また、ホームと地下3階の間には10か所の階段も併設されています。
一度に多数の乗客が下車した場合を想定して、地下3階で乗客を一旦プールし、線路に落ちる可能性のある危険なホームの混雑を地下3階で吸収するという設計思想が背景にあるものと推察されます。品川リニア新幹線駅でもこの設計思想が踏襲されると仮定します。
上野駅の新幹線ホームのひとつから見てみると、上り用のエスカレーターが4台、階段が5か所あり、これらで地下3階に登れます。地下3階からは地上階までのアクセスにエスカレーターが9台設置されています。これと同様の仕様を品川駅のリニア新幹線に仮定します。
さらに、品川駅の場合には地下5階から改札階の地上2階までの移動を考慮する必要があります。上野駅は地下4階からの地上階への移動ですから、2階分が加算されます。エスカレーター数は上野の17台に比較して21台多い38台とし、報道に合わせます。
地下5階と地下4階の関係は上野駅の地下4階と地下3階の関係と同じと仮定しましたので、地下4階から地上2階までの移動に用いるエスカレーターは30台となります。上野駅の地下3階以上では上りと下りは2対1ですので、品川リニア新幹線駅では上りが20台、下りが10台となります。また、地下4階から地上2階までの直通エスカレーターは構造的に厳しいと考えられますから、2段階と3段階の混成と仮定します。その場合、地下4階から地上2階への上りエスカレータは7~10並列となります。以下計算では中間を取って8並列とします。
エスカレーターの速度は国土交通大臣が定めていて、勾配30度で水平方向移動速度が毎分30m以下が標準のようです。ということは垂直方向移動速度は毎分13.4m以下となります。
品川駅のコンコースからリニア新幹線ホームまでの標高差を50mとすると、エスカレーターの上昇時間だけで3.7分必要となります。すでに3分越えです(笑)。ただし、この数字は最初にエスレーターに辿り着いた人に限られます。そうでない乗客の平均的および最長の時間を求めておく必要があります。それにはエスカレーターの輸送能力を検討する必要があります。
エスカレーターのステップ奥行きは約40cmが標準のようです。毎分30mの水平方向移動速度の場合、毎分75人を運ぶことができると仮定します。この仮定は2並列で密度50%の利用に基づいています。乗客の持ち物をスーツケースと想定した場合には結構な密度ですが、成田空港のエスカレーター利用を例に考えるとこの仮定は妥当と思われます。これは毎秒1.25人が乗り込むことと等価です。なお、ホーム階から地下4階の移動に階段を使う場合にはエスカレーターと同じ時間が掛かるとしています。
リニア新幹線の一編成当たりの定員は1000人と言われます。8並列上りエスカレータの場合、125人を各々が担当します。毎秒1.25人ですから、最後の人が乗り込むまで最短で100秒かかります。これに水平方向の移動時間が加わります。エスカレーター乗り場まで移動する時間です。
これらを勘案すると、改札階までたどり着くのに最短で約4分、最長で約6分、平均5分ということになります。これに山手線ホームまで移動する時間5分~10分が加わります。
つまり、リニア新幹線から山手線までの乗り換え時間は、最短で9分、最長で16分という試算結果となりました。
乗り換え時間、恐るべし、ですね。
このシリーズはこちらに続きます。また、このシリーズの初回はこちらです。
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