lnr013: リニアモーターカーの分析 13 超伝導磁石とクエンチ現象(2)

クエンチ現象の写真。こちらから転載させて頂きました。窒息の危険がある旨が記されています。

クエンチ現象の動画。

前回はリニア中央新幹線に最重要技術のひとつである超伝導磁石の原理の基礎を説明し、クエンチ(quench)現象の発生可能性を紹介しました。

今回は、クエンチ現象のメカニズムに踏み込んで論考してみたいと思います。

まず、正常運転されている超伝導磁石を念頭にイメージしてください。

超伝導磁石と言っても、超伝導体で作ったコイルの事です。そのコイルに数百アンペアの電流が静かに流れています。それによって強力な磁界が発生して磁石のように振舞っています。

電力会社と一般家庭との契約は電流の最大値で定められますが、40~60アンペアが一般的なようです。電気をたくさん使うお宅で60アンペアです。超伝導磁石にはこの10倍以上の電流が流れています、通常の電車の車輪よりも小さなサイズの機器の中に。

一般的には「電流=発熱」ですが、超伝導状態ではこれが当てはまりません。超伝導磁石のコイルは抵抗がゼロなので、発熱量はゼロです。

これは、しかし、正常運転の場合に限ります。

ここで、超伝導コイルの一部が超伝導状態から抜けて常伝導状態に切り変わった場面を想像してみましょう。

これは、電流を流し過ぎて臨界電流(電流の上限値)に到達したり、磁界の変化が急激でそれによって渦電流が生じて発熱したり、または線材の微細な動きによる摩擦により発熱が生じたり、などが原因で生じます。

最後の二つはリニア新幹線の台車で発生しそうです、、、ね。

微小な部分で超伝導が破れると、そこで急激なジュール加熱(電流の二乗に比例します)が発生し、周辺温度を上げます。すると、さらなる超伝導の破れが生じ、急激に磁石全体が常伝導となります(何かの連鎖反応に似ていますね(笑))。

これが放置されれば、巨大な爆音を伴って急激に極低温冷却液が沸騰します(上記添付動画をご参照ください)。

局所的な発熱や大きな物理的な力を受けて部品が壊れることがあり、磁石そのものも焼損することがあるそうです。

ですので、クエンチ現象による超伝導磁石破壊防止対策が打たれているようです。

いわゆる「ありの一穴」、ここで微小領域の超伝導破壊を感知して大電流をコイルから外に素早く逃がす仕組みを組み込むようです。微小領域の超伝導破壊はコイルに電圧が発生しますので、その検出によって知ることができます。

ですが、外に取り出した大電流を受け止める仕組みが必要となります。別の表現をすれば「大電流による発熱を受け止める」装置が必要で、必然的に大寸法となります。大変です。

リニア新幹線では16両編成が予定されていて、一車両に台車が二台、台車には8個の超伝導磁石が使用されるようです。超伝導磁石の個数は256個です。

超伝導磁石256個を常に正常運転させる、、、というのはかなりの制御技術となりそうです、、、、ね。それとも、少数の超伝導磁石がクエンチ現象で機能停止に陥っても、編成自体は運航継続とすることができるのでしょうか?

また、台車の片側の超伝導磁石でクエンチ現象が生じて機能停止となったら、推進力も制動力も浮上力も左右のバランスが崩れます。鉄輪式鉄道の片方の車輪が消えてしまったようなものです。大丈夫なのでしょうか?反対側の超伝導磁石も強制的に機能停止としてバランスを保つのでしょうか?

このシリーズはこちらに続きます。また、このシリーズの初回はこちらです。

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