sc011: プロ農家の農薬散布と家庭菜園

あぜ道の雑草を刈払い機で除く農家。こちらから転載させて頂きました。

プロ農家の農地と家庭菜園の農地が隣接していることはよくあります。
そのような場所で私が目撃したことを以下に記します。
皆様は如何様に受け取られますか?

住宅地にある田圃での出来事です。田起こし前の春だったと記憶しています。
その田圃は、私の知り合いの家庭菜園に隣接しているだけでなく、幼児の洗濯物が干してあるアパートも隣にあります。実際、赤ちゃんを抱いたお母さんが出入りする姿も見かけられました。もう一面もアパート、他の一面は道路を介して住宅が並んでいます。

その田圃では、おそらく、農家の稲作が困難になったのでしょう、企業が代理で耕作していました。食品を販売している有名な会社です。

とても風の強い日でした。その企業の作業者二名が噴霧器で何かを散布していました。「強風の下で」です。しかも、噴霧器の出口はある方向を向いていました。一般に推奨されている「下方」ではなく「前方の斜め上方」でした。

見かねた私はその作業者に「何を散布しているのですか?」と質問しました。
「除草剤」という回答。
「どんな除草剤ですか?」とさらに問うと「知らない」とのこと。

「近くに赤ちゃんのいるアパートがあり、その隣には家庭菜園も見えるのに、それでいいんですか?事前に連絡したんですか?」と詰めると「やめます」と返答。
「最低限、洗濯物を干さないようにとか前もって知らせなくていいんですか?」「除草剤の危険性(あるいは安全性)を把握していないんですか?」「家庭菜園のひとが除草剤をかぶった野菜を食べても構わないのですが?」などなど、、。

返事があいまいだったので名刺を求めたところ、「主任」と記されていました。もう一人の作業者は「何をごちゃごちゃ言っているのか?」という罵声を私に浴びせ掛けてきました。

私は自分が常識と考えることを基に上記の問いかけをしたのですが、農家には農家の流儀があって自分が間違っているのかもしれないと感じ、親戚の農家に電話で問い合わせをしました。
強風下の除草剤は常識外れ」「除草剤は下向きで散布するのが当たり前」との回答。
有名な食品会社の「〇〇農園」という部署の行動が常識外れと知って愕然としました。

稲作の代行ということ自体はとても感謝すべきことです。
住宅街で放置された田圃は雑草が生い茂る藪となり、望ましくない害獣や害虫の棲み家となります。
ですが、農薬の管理はしっかりとお願いしたいところです。

ところが、その企業は代行を取りやめてしまいました。
私の問い合わせが原因だったようです。プロ農家に採算を考慮する必要があるのは理解しています。
ですが、農薬被害を抑圧する努力は放棄されるべきではないと考えます。
また、その企業が販売している食品についても「衛星管理が甘いのではないか」と疑念を持たれる端緒となりかねないはずです。コンプライアンスの問題でもあります。

もう一つ、重要なことがあります。家庭菜園とプロ農家の違いです。技術の差のことではありません。

家庭菜園では、通常、多種多様な作物を少しずつ栽培します。時期をずらして。それを食する人数が少ない、通年で収穫して食したいという当たり前の事情と要望です。
従って、多くの場合に無農薬栽培が選択されます。すぐに食する作物のそばで農薬散布を行う気にはなれないからです。

これに対して、プロ農家の作物は多くの場合に単一です。
でなければ、機械化も導入できないし手間が係る割に収穫量が望めません。経営上の当然の判断です。
単一作物の場合、収穫時期はほぼ決まっていますし、その収穫に支障が生じない農薬散布の時期も決まっています。
米作の場合を例にとると、秋の稲刈りの時期には効き目が十分に弱まっている農薬が害虫対策や雑草対策のために7月頃に散布されます。この農薬の強度が不十分であれば、秋の収穫に響きます。

この7月の農薬散布の際、その隣にある家庭菜園では無農薬のキュウリやナス、トマトが採りごろとなります。
もしも農薬が家庭菜園に風で流れてきたらどうなるでしょうか?濃い農薬が付着した野菜を頂くことになります。無農薬を信じている場合、野菜の洗い方も簡素。菜園でそのまま食する人もいます。プロ農家の農薬散布が家庭菜園に知らされていなかったら、、、とても怖い話です。

静岡県の農業課に問い合わせたところ、さすがにこの危険性を認知していました。が、残念なことに、現在の法律では取り締まりができないとのことでした。
そのような企業に対して勧告はできると言っていただきましたが、「そんなこと言うならば代行稲作をやめる」と脅迫じみた発言をしたその企業に対しては証拠写真が必要と考え、「もう少し様子を見てみます」とその時は答えました。なお、島田市の農業委員会に問い合わせた際には「専門家がいない」との回答でした。

プロ農家との近所づきあいがあるならば、お互いに配慮し合う関係が期待できます。実際、除草剤は一切使わずに刈払い機で対応される住宅隣接農地もあります。が、企業農業の場合にはその配慮をすべての会社に期待できません。四六時中の監視も無理です。何かいい方法はないでしょうか?

島田市がプロ農家が困ることなく、安心して家庭菜園も楽しめる場となるといいなと感じた次第です。

以下はご参考です。

こちらに農林水産省の通達があります。その中に次の内容があります。平成25年4月26日とあるので、2013年の通達と思われます。私が目撃した上記事件よりも10年近く前のものです。恐ろしいことです。

【ここから】
(4)農薬散布は、無風又は風が弱いときに行うなど、近隣に影響が少ない天候の日や時間帯を選び、風向き、ノズルの向き等に注意して行うこと。
(5)農薬の散布に当たっては、事前に周辺住民に対して、農薬使用の目的、散布日時、使用農薬の種類及び農薬使用者等の連絡先を十分な時間的余裕をもって幅広く周知すること。その際、過去の相談等により、近辺に化学物質に敏感な人が居住していることを把握している場合には、十分配慮すること。また、農薬散布区域の近隣に学校、通学路等がある場合には、万が一にも子どもが農薬を浴びることのないよう散布の時間帯に最大限配慮するとともに、当該学校や子どもの保護者等への周知を図ること。
(6)農薬を使用した年月日、場所及び対象農作物、使用した農薬の種類又は名称並びに使用した農薬の単位面積当たりの使用量又は希釈倍数を記録し、一定期間保管すること。
【ここまで】

下の動画には除草剤を散布する際に使用すべきノズルなどが述べられています。

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