acd001: 世界の科学技術アカデミー 01 知恵の館(バグダッド)

ハールーン・アッ=ラシードがカール大帝の派遣団と会う場面。こちらから転載させて頂きました。

アッバース朝の図書館。こちらから転載させて頂きました。

このシリーズでは世界の様々な科学技術アカデミーを紹介してみたいと思います。

第一回目はバグダッドにあった「知恵の館(بَيْتُ الْحِكْمَةِ)」です。

ラテン語では「Bayt al-Hikma」、英語では「House of Wisdom」と表されるようです。
私は、ギリシャ時代やヘレニズム時代の文化がエジプトのアレキサンドリアに蓄積され、それがイスラム世界に伝わり、さらにそれがルネッサンスにつながったということは知っていました。ですが、イスラム世界での具体的な内容までは知りませんでした。

今回、GROKさんから教えて頂いたので、それを基にご案内してみたいと思います。

知恵の館は、8世紀から13世紀にかけてアッバース朝の首都バグダッドに存在した学術機関でイスラム黄金時代の知的中心地として知られているそうです。

ハールーン・アル・ラシード(هارون الرشيد Hārūn al-Rashīd、在位:786-809年)の時代に始まり、息子のマームーン(أبو العباس عبد اﷲ المأمون ابن هارون الرشيد Abū al-ʿAbbās ʿAbd Allāh Al-Mā’mūn ibn Hārūn ar-Rashīd、在位:813-833年)の治世下で最盛期を迎えたとのこと。
ギリシャ、ペルシア、インドなどの古典文献をアラビア語に翻訳し、知識の集積と研究を促進することを目的としていたようです。残念なことに、 1258年のモンゴルによるバグダッド侵攻で破壊され、終焉を迎えたそうです。

プラトン、アリストテレス、ヒポクラテス、ガレノス、ユークリッドなどの作品が翻訳され、ギリシャ哲学、数学、医学、天文学が重点的に研究されたとのこと。

学者たちが集まり、数学(代数学の基礎)、天文学(星表の作成)、医学、哲学、化学などの分野で独自の研究を行ったとされます。

図書館として機能し、膨大な蔵書を有し、写本の収集・保存が行われたとのこと。

イスラム教徒だけでなく、キリスト教徒、ユダヤ教徒、ゾロアスター教徒など多様な背景の学者が参加するなど多様な国際性に富んでいたようです。

著名な学者としては、アル・フワーリズミー(الخوارزمي、 al-Khuwārizmī)が挙げられます。数学と天文学で著名な業績を残しました。代数学の父と呼ばれ、名前が「アルゴリズム」の語源となっています。

また、フナイン・イブン・イスハーク(أبو زيد حنين بن إسحاق العبادي; ’Abū Zayd Ḥunayn ibn ’Isḥāq al-‘Ibādī)は翻訳家および医学者として活躍し、『ガレノス医学入門』を著すとともに眼科学分野に業績を残したとされます。

アル・キンディー(أبو يوسف يعقوب ابن إسحاق الكندي; Abū-Yūsuf Yaʿqūb ibn Isḥāq al-Kindī,)は哲学者で、イスラム哲学の基礎を築いた人物だそうです。数学に暗号論を初めて導入した人としても有名だそうです。

知恵の館は、ヨーロッパのルネサンスや中世の学術復興に間接的に影響を与えるとともに、イスラム世界の科学的・哲学的知識を保存・発展させて後の世代に伝え、さらには多文化交流の場として異なる文明の知識を融合させた、そのような役割を果たしたのだそうです。

このシリーズはこちらに続きます(新しく投稿されるとそちらに飛びます)。

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