dbme029: 大日山瞰川寺の石碑石像と建築物(29)石垣

仁王門裏の石垣。大日山瞰川寺の主要な石垣。

石垣の種類の説明図。こちらから転載させて頂きました。

ベートーベン。こちらから転載させて頂きました。

このシリーズでは大日山瞰川寺の境内にある石碑石像と建築物をひとつひとつご案内しています。

今回は石垣です。島田市によるとこの規模の石垣は市内に他例が無いそうです。

大日山瞰川寺の境内は岸山の東端にあり、急斜面に囲まれています。川を見下ろすという瞰川寺の名の通り、江戸時代の大井川の氾濫を避けることができる高台に築かれたという事実と合致しています。

従って、1713年に田中城裏鬼門除けとしての建物が完成した際には境内の造成がある程度終わっていたと考えられます。この時期に何らかの石垣様のものが構築されたと考えるのが自然と思われます。


さて、ここで石垣の種類を復習しておきましょう。種類によって大まかな構築年代が推定できるそうです。

まず、「乱積み」と「布積み」に大別されます。後者は石と石の継ぎ目が横一直線(水平)になるように積み上げる方法だそうです。これに対して前者は目地※を横一直線に揃えるのではなく、不規則に積み上げる方法とのこと。
※)「目地」とは、本来、石と石の境界を意味します。が、そこに挿入する充填剤のことも目地ということがあるそうです。

布積みは石の形状によって分類できるようで、角が丸い石を使う玉石積み、ひし形の石を使う谷積み、正方形ないし長方形の石を使う方式(これを布積みという場合もあるようです)、六角形の石を使う亀甲積みなどです。

さらに、石垣の二面が直交する角について仕上げに用いる算木積みという方法があります。直方体の石の向きを交互に90度変えて土圧を分散させ、角の強度を高める構造とのことです。

他方、石の加工の程度で三つに分類できるようです。自然石をそのまま積み上げる野面積み(のづらづみ)、石に多少の加工をしてから積み上げ急こう配を可能とした打込接ぎ(うちこみはぎ)、高度に石を加工してから積み上げて強度最高の切込接ぎ(きりこみはぎ)。切込接ぎには地下水を逃がす排水溝が必要とのことです。

打込接ぎは江戸時代を通じて最も一般的な石垣で、大寺院や城下町の寺に多いようで、江戸中期以降の寺院の石垣で特によく見られるそうです。切込接ぎは格式の高い寺院や大規模伽藍に使用される例が多く、高度な技術と費用が必要であり、城郭石垣の技術が応用されているとのこと。


大日山瞰川寺には5種類の石垣があります。そのうちの4種類は大井川流域で採れたという砂岩系の石が用いられています。残りの花崗岩の石垣は比較的新しいものと考えられます。

1)小さな正方形の石を布積みとした石垣
2)上記より大きめのひし形の石を谷積みとした石垣(市道沿い)
3)算木積みの角を含む切込接ぎの布積み石垣(市道と仁王門の間)
4)算木積みの角を含む切込接ぎの準布積み石垣(仁王門裏)
5)花崗岩のひし形の石を谷積みとした石垣(籠り堂前)

上記写真の石垣は参道の階段に沿う主要石垣で(4)に相当します。(3)と併せて1806年の完成と資料にあります。

格式の高い寺院や大規模伽藍に使用される例が多い切込接ぎが参道に配されているのみならず、それよりも歴史が長いと考えられる布積みと谷積みの石垣、砂岩系からなるこれらの石垣は大変に貴重なものだと考えてよいと思われます。


ちなみに、1806年にはウィーンでベートーベンのヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61が初演されたそうです。この曲はベートーベン中期の傑作のひとつで「ヴァイオリン協奏曲の王者」とも言われているとのこと。

個人的には大日山瞰川寺の石垣はベートーベンのこの曲にとても相応しいと感じています。

このシリーズはこちらに続きます(最新記事がアップされたらそちらが表示されます)。また、本シリーズの初回はこちらです。

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