
哲学者の西田幾多郎の本棚。こちらから転載させて頂きました。
このシリーズでは科学技術分野に特化した教育論を論考しています。
まずは、科学技術分野に必要な知性を整理してみたいと考えました。そこで、イマヌエル・カントの知性の分類を科学技術に適用することを考えました。その第一回目は「悟性」です。
イマヌエル・カントの「悟性」(Verstand, understanding)は感性(Sinnlichkeit)から受け取った直観(Anschauung)を概念(Begriff)やカテゴリー(Kategorie)を用いて整理し、認識を可能にする能力を指すようです。換言すると、感覚データをカテゴリー(量・質・関係・様相など)によって秩序づける機能です。
上記の本棚の画像は、カテゴリー分けを象徴していると考えて採用しました。
科学技術の場面での実例を挙げてみましょう。ここでは感性(視覚、聴覚、嗅覚、触覚など)によって受取った課題の解決のためのカテゴリー分けと認識(対応策の発想)を見てみます。
・ガソリンエンジンの起動不良⇒キャブレター不調(流体力学)⇒ジェットの調整
・突然の停電⇒短絡電流による断線(電気回路理論)⇒短絡箇所の探察と交換
・トウモロコシの発芽不良⇒低温(植物学)⇒播種時期の調整ないし温室準備
科学技術的な悟性を発露させるためには、観念やカテゴリー、すなわち学問分野や技術領域に関する知識が必要で、課題となる現象を感性で受け止めた後に適正な分類を行う能力が求められることが分かります。
具体的な対策まで知識化されていれば(脳中に入って入れば)「熟練」ということになりますが、人によっては脳中の「本棚」が一杯になってしまい、対象を狭い専門分野にとどまらざるを得ない状況も生じます。
現在のようにAIが活用できる環境では、観念やカテゴリーの整理に成功すれば、その後はAIに調べさせるという手法も可能でしょう。
次は、科学技術的「判断力」について論考します。
このシリーズはこちらに続きます(新しく投稿されるとそちらに飛びます)。また、このシリーズの第一回目はこちらです。
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