ste17: 科学技術教育について 17 議論のスキル(2)

気象庁データを基にプロットした気温変化。この種のデータプロットに加えて測定方法変遷の資料があると議論が進む?こちらから転載させて頂きました。

このシリーズでは科学技術分野に特化した教育論を論考しています。

前回は「議論のスキル」と銘打って論考しました。

そこでは「議論」と「討論」の区別の必要を記しました。

次いで、GROKさん(3)に調べてもらったのは、議論のスキルを育成するための教育手法の実践例でした。ところが、調査結果では子供たちに「体験させる」という実践例はあるようですが、ルールやメンタリティの指導に当たる例は見出せないようでした。

そこで、基本を把握するために、ディスカッション(議論)を効果的かつ建設的に進めるためのルールと心構えを調べてもらいました。これらは、参加者全員が尊重され、意見が活発に交換される環境を作るために役立つそうなので、ご案内してみたいと思います。

なお、単なる「ディスカッション」のルールと心構えは巷にあふれているようなので、「科学技術的なディスカッション」に的を絞ってあります。

1)科学技術の場面でのディスカッションのルール
a)目的と範囲の明確化
 ディスカッションの目的(例:研究課題の特定、技術的解決策の検討、実験計画の策定)を最初に共有し、議題の範囲を限定するとよいそうです。
b)データとエビデンスに基づく議論
 意見は科学的データ、実験結果、または信頼できる文献に基づいて発するよう限定し、主観的意見は最小限にし、根拠を明確に提示するとよいそうです。
c)専門用語と明確なコミュニケーション
 参加者の専門知識レベルに合わせ、適切な専門用語を使用すると同時に、分野が異なる参加者がいる場合は、わかりやすく説明する必要があるそうです。
d)批判的思考と建設的フィードバック
 アイデアや提案に対しては、科学的根拠に基づいた批判を行い、否定する場合は代替案や改善点を提示するとよいそうです。
e)時間と優先順位の管理
 科学技術の議論は詳細に及びがちなので、議題ごとの時間配分を厳守し、優先度の高いトピックに集中するとよいそうです。
f)記録と追跡可能性
 議論の内容(結論、仮説、アクションアイテム)は正確に記録し、必要に応じて再現や検証ができるようにするべきだそうで、議事録やデータベースを活用するとよいとのこと。
g)倫理と安全の考慮
 技術開発や実験に関わる倫理的問題(例:環境影響、ヒトへの安全性)やリスクを議論に含め、責任ある意思決定を行うべきだそうです。


以上は経験を積んだ科学者・技術者ならば「当たり前」のルールですが、これを育成年代への科学技術教育に如何様に落とし込むかについては一考の余地があります。

「大学で学べばよいのではないか?」という反論が有力だからです。

ですが、実をいうと、私はかなりシニアな人物から上記ルールのいくつかを強制的に禁止された上で議論を交わす経験を有しています。何のための議論なのかと疑問を持ちながら時間を浪費する苦痛を何度も味わいました。

この経験が「育成年代の教育に『議論のスキルの育成』が必要ではないか」に私の思考を向かわせました。相当な手練れであっても「いろは」が欠落している場合があるのではないか、そして上記の様なルールの下で如何に知性を発揮するかの熟練が若手にもあった方がよいのではないか、などと考えたためです。

次回は「心構え」を紹介します。

このシリーズはこちらに続きます(新しく投稿されるとそちらに飛びます)。また、このシリーズの第一回目はこちらです。

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