ste20: 科学技術教育について 20 経済学の把握

頭の向きや動きに追随するVRゴーグルが3D映像利用の担い手に。こちらから転載させて頂きました。

このシリーズでは科学技術分野に特化した教育論を論考しています。

前回は広義の科学技術に含まれるべき学術分野の論考を開始して、第一に哲学を取り上げました。

社会にとって何が重要かという視点が備わる者が科学技術に携わることが大切と考えるためです。

今回は経済学を取り上げます。

哲学は大所高所から社会を考える学問ですが、経済学は人や物の動きの具体例を扱う学問で、科学者や技術者が現場主義を貫くうえで重要と考えられます。


テレビの科学技術番組などで新しいものが紹介される際、「これによって〇〇ができますできるようになります」という表現がよく使われます。

これは要注意です。

科学技術の最終ゴールは「よく使われて役に立ちます」だからです。

科学技術分野に身を置いた者としては両者の間には幾百光年の開きがあることを痛感してきました。

一例を挙げましょう。

ちょっと前の事ですが「3Dテレビがいよいよ世に出た」という時がありました。多くの研究者や技術者が3Dテレビに長年取り組んできた末の「いよいよ」でした。

奥行き方向の映像が楽しめるので利用者が飛びつくに違いない、とメーカー各社は期待しました。量販店にも3Dテレビが並びました。

液晶テレビに少しだけ追加工し、右目と左目とで異なる映像を特殊なメガネを通して視聴者に届けるということができるようになったためです。

映画館でも同様の方式が採用されました。

ところが、このテレビはヒット商品になりませんでした。

テレビの前でゴロンと横になると奥行き効果が消えてしまうのです。頭の位置や傾きに追随できないのです。

テレビの時代を築いてきた先輩技術者から「こんなものは売れるはずがなかったとなぜ事前に気付かない」と痛烈な批判記事が(後出しで)出ていました。

3Dテレビの研究者や技術者たちの「利用者の動機」の把握が甘かったということになります。

よく言われます。

研究や技術開発は「自由にやってこそ、、」と。

これはゼロか百かの極論による論点矮小化です。

ゴールへの道のりを説明できて初めて支援者に納得頂けるという視点は「自由」に加味する必要があります。

その道のりの最難関が「利用者がお金を払って利便性を求める」という関所です。

経済学も多種多様ですが、利用者が財布に手をやる動機や行動原理、あるいは経済状況との関連などは基本として教えてくれます。

科学者や技術者はそれらを把握しておく必要があります。

この価値観を育成年代に学んでもらうべきだと私は考えます。

このシリーズはこちらに続きます(新しく投稿されるとそちらに飛びます)。また、このシリーズの第一回目はこちらです。

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