lnr002: リニアモーターカーの分析 02 「リニア」の利点(1)

実用リニアモーターカーの都営地下鉄大江戸線。先頭車両の連結器の下に固定子の銅板とヘッドランプの下にレールが見えます。こちらから転載させて頂きました。

固定子と回転子を回転型からリニア型に変形させる模式図(再出)。モーターの厚さが激減する様子が明らかです。こちらから転載させて頂きました。

前回はリニアモーターの原理について述べました。

今回と次回は鉄道にリニアモーターを利用するメリットを考察します。回転式モーターの欠点がリニアモーターの利用で解決されるという要素を考えます。

その第一は車高です。鉄道車両の車高はトンネルの内径を定めます。車高が高ければトンネルの内径も大きくなります。トンネル工事費はトンネルの内径と正の相関を持ちます。

従って、全線がほぼトンネルである地下鉄では工事費と車高が正の相関、すなわち、車高の高い車両を用いる地下鉄の工事費は高くなる傾向があります。トンネルが多い地上の鉄道でも同様です。

回転式モーターは一般的には電車の客室の床面の下に設置されます。この場合の車高は、回転式モーターの直径に車内の天井高さを加えたものが基本となります。天井の厚さ(エアコンなどを含む)や、レール上面とモーター下面の間隔がこれに加わります。

もしも車高を減ずることができれば地下鉄建設の際の経費削減というメリットが生じます。

リニアモーターカーを地下鉄に導入すれば、「(回転子の厚さ+固定子の厚さ)×2」だった床下のモーター部分の厚さが「回転子の厚さ」だけとすることができます。固定子は線路側に埋め込めるので車高に含まれなくなります。

実際、大阪の長堀鶴見緑地線や東京の大江戸線、神戸の海岸線、福岡の七隈線、横浜のグリーンライン、仙台の東西線はこの方式のリニアモーターカーが運行されています。「鉄輪式リニアモーターカーミニ地下鉄」と呼ばれているようです。「鉄輪式」とは車両の重量を支えるのは従来と同じ鉄レールの上の鉄の車輪だからです。

具体的なデータで見てみましょう。東京の大江戸線とその前に建設された半蔵門線を比較してみます。

車高:3.1m(大江戸線)、3.5m(半蔵門線)
トンネル内径:4.3m(大江戸線)、5.5~6.0m(半蔵門線)

大江戸線ではこの効果により建設費を2割程度削減できたとされます。

ですが、良いことばかりではありません。以下のようなデメリットも伴うリニアモーターカー採用でした。

1.全線に厚い銅板を固定子として敷き詰めるためのコスト高を伴います。銅は高価な金属として知られます。保守や更新もコスト高となるはずです。
2.縦横無尽の地下鉄ネットワークが近郊電車と相互乗入れで連結している点が大都市地下鉄の特長ですが、トンネル内径や駆動系の異なる大江戸線への近郊電車乗入れは不可能です。
3.トンネル内径を縮小させるために車両の床上部分も縮小されています。このため、1車両当たりの輸送力が低く、需要増には連結車両数を増す必要があり、それには駅のホームの増設(延伸)が必要となります。

これらのデメリットを補って余りある建設コスト削減が有効とされる場合には、この「鉄輪式リニアモーターカーミニ地下鉄」が採用されると思われます。

次回ではリニアモーターカーのもう一つのメリットを論考します。

このシリーズはこちらに続きます。また、このシリーズの初回はこちらです。

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