朝永振一郎博士と島田市 003 マグネトロンと導波管

現代のマグネトロン。こちらから転載させて頂きました。

朝永博士と小谷博士が島田で行った研究は、レーダー信号源を構成するマグネトロンと導波管に対するものでした。

マグネトロンは真空管の一種で、直流の電流を入力に流すとマイクロ波帯の高周波信号(10GHz)が出力に発生するという装置です。

東北大学の岡部金次郎博士(当時講師)が学生を指導する実験授業の中で見出した発振現象が端緒となって発展していた装置でした。が、朝永博士の研究の前までは、その動作メカニズムが理解されておらず、経験則に頼る試みが主流でした。

朝永博士は量子力学の手法をこれに適用し、見事に動作原理を解明されました。これによりマグネトロンの性能が急速に改善されたようです。

導波管はマグネトロンで発生したマイクロ波信号をアンテナに導く部品です。この部分の効率はとても重要で、レーダーの性能を左右します。効率が低いとせっかくのマグネトロンのマイクロ波信号が十分なパワーでアンテナから空中に向かって発せられませんし、探知の対象物から返ってきた電波の検出も困難になります。

朝永博士はこれに対してハイゼンベルク博士が発案した散乱行列の手法を適用しました。ハイゼンベルク博士は量子力学の問題に対して散乱行列の手法を提案していたのですが、朝永博士は導波管の理論に用いたのです。

皆さんは電子レンジをよくお使いかと思われますが、マグネトロンと導波管はまさに今日の電子レンジに用いられています。

実際、日本で最初の電子レンジは朝永博士と小谷博士の薫陶を受けた島田の企業が戦後すぐに試作しています。電子レンジを使って何かを温めたり調理したりする時、朝永博士と小谷博士、そして島田のことを思い出されるのも一興ではないでしょうか?

とまれ、島田の海軍研究所で開発されたレーダー信号源は航空機用としては十分な強度を備え、終戦間際ではありましたが、日本各地で防空レーダーに使われたようです。

このシリーズはこちらに続きます。また、このシリーズの最初はこちらにあります。

コメント / Comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です