
2017年に開通した全自動無人運転の鉄輪式シャトル列車「Pisa Mover(ピサ・ムーバー)」(イタリア)。こちらから転載させて頂きました。

英国のハイスピード2。バーミンガム以北は建設中止に。欧州鉄道網との接続が重視されて鉄輪式が採用され、時速360kmの運行が計画されているそうです。こちらから転載させて頂きました。
本シリーズではリニアモーターカーの分析研究を進めてきました。
総括のための終章の前に、諸外国の状況の俯瞰を試みています。前回は長距離応用(の主として計画)を中国やインドを中心に取り上げました。
「提案はされたけれど、従来型の鉄輪式高速鉄道が採用」という現況が多いようです。運行されている上海トランスラピッドも環境問題で住民の反対運動が生じているとは、少し意外でした。中国のような広大な国土を持つ国では生じにくいのではないかと考えていたからです。
今回は長距離応用をご案内する後半です。
イタリア
[1」ピサ ‐ フィレンツェ: 2011年にニコラ・オリヴァ氏によりピサ国際空港とプラート、フィレンツェ(サンタ・マリア・ノヴェッラ駅とフィレンツェ空港)を結ぶ磁気浮上式鉄道(100㎞)の建設が提案されたそうです。第二段階ではリボルノへの接続で、海上、航空、陸上の交通システムが統合されるとのことです。しかしながら、ピサ国際空港とピサ中央駅間についての主要なアクセス手段は、2017年に開通した全自動無人運転のシャトル列車「Pisa Mover(ピサ・ムーバー)」となっているようです。高速性ではなく無人化が重視された結果でしょうか?
マレーシア/シンガポール
[2]クアラルンプール ‐ シンガポール:マレーシアの都市とシンガポールを結ぶ磁気浮上技術が提案され、当時の技術パートナーはシーメンスとされていたようです。が、高額な費用が理由で頓挫したようです。その後、クアラルンプールからシンガポールへの高速鉄道構想(360km)が再び浮上したようですが、磁気浮上技術を用いる計画は2021年に終了したとのことです。
月
[3]NASAが発表したフレキシブル軌道浮上(FLOAT)プロジェクトは、月面に磁気浮上鉄道を建設する計画なのだそうです。高速性というよりは月面では鉄輪式が使いにくいからという発想のようです。
英国
[4]英国ウルトラスピード:ロンドン – グラスゴー(630km):ロンドンからグラスゴーを結ぶ路線が提案されたようですが、2007年に発表された政府の白書「持続可能な鉄道の実現」において却下されたそうです。代わりに現在の高速鉄道計画である「ハイスピード1(High Speed 1)」や「ハイスピード2(High Speed 2)」などが推進されているそうです。
アメリカ合衆国
[5]ワシントンD.C. ‐ ニューヨーク市(370㎞):JR東海開発の超電導リニア技術を活用した北東リニア鉄道は、最終的には北東部の主要都市圏と空港を時速480キロメートル(時速300マイル)以上で結ぶことを目指すとともに、ワシントンD.C.とニューヨーク市を1時間で結ぶことを目指しているそうです。2019年現在、連邦鉄道局とメリーランド州運輸省は、ワシントンD.C.とメリーランド州ボルチモアを結ぶシステムの最初の区間(途中、ボルチモア・ワシントン国際空港に停車)の建設と運行に伴う潜在的な影響を評価するための環境影響評価書(EIS)を作成中だったそうですが、2025年7月に調査資金が打ち切られたようです。
[6]カリフォルニア ‐ ネバダ州: 南カリフォルニアの主要都市とラスベガスを結ぶ高速磁気浮上鉄道の建設が、カリフォルニア・ネバダ州間磁気浮上式鉄道プロジェクトを通じて検討されているそうです。この計画は当初、州間高速道路5号線または15号線拡張計画の一部として提案されたそうですが、連邦政府は州間公共事業とは分離する必要があると判断したとのこと。事実上、計画は停止した模様です。
[7]サンディエゴ ‐ インペリアル郡空港(120マイル): 2006年にサンディエゴ市はインペリアル郡に建設予定の空港への磁気浮上鉄道の調査を委託したそうです。この構想は「ターミナルのない空港」というもので、乗客はサンディエゴのターミナル(「サテライトターミナル」)でチェックインし、鉄道で空港まで行き、そこから飛行機に直接搭乗できるようにするということでした。貨物輸送も可能となるとのことでしたが、更なる調査に対する資金提供が合意されなかったようです。
ほぼすべての長距離高速リニアモーターカー鉄道計画がお蔵入りになっているようです。米国では日本と異なり「やってみないと分からないのでGo」という結論は成立しないため、調査自体の意義が精査される仕組みがあるようです。
筆者の推測です。米国の場合、利用者は日本とは比較にならないほど「郊外に住居」を構えている人々が多く、リニアモーターカーが建設されたとしても「(大都市の)駅まで車で移動する」必要が生じます。「空港まで移動するのと同程度であれば(ネットワークが確立されている)飛行機移動でいいじゃないか」の壁は高そうです。
このシリーズはこちらに続きます。また、このシリーズの初回はこちらです。
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