or002: 大井川の研究_02 水質の特色

北岳から望む甲斐駒ヶ岳。頂上付近の山肌が白く見えます。こちらから転載させて頂きました。

このシリーズでは大井川の徹底研究を進めています。

「南アルプスの天然水」と某社が謳っているのは甲斐駒ヶ岳の山岳伏流水ですが、ここでは大井川の山岳伏流水をそれと比較してみます。

山岳伏流水とは「雨水や雪解け水が山岳地帯の地層(主に砂礫層や岩石層)に浸透し、地下を流れる水」のことをいうそうです。

大井川の山岳伏流水と甲斐駒ヶ岳の山岳伏流水は南アルプスに位置する水系に属し、類似点がある一方で、地質、流域環境、利用状況などにより違いも存在するとのこと。ただし、具体的な水質データに関する詳細な比較情報は限られているために要注意でご高覧願います。

1)背景と定義
 南アルプスの急峻な地形と豊富な降水量(年平均3,000mm以上)により、両地域では豊富な伏流水が形成されるそうです。大井川はフォッサマグナや中央構造線の影響を受けた脆弱な地質(白亜紀の四万十層や第三紀の瀬戸川層、砂岩・泥岩など)が特徴とのこと。
 これに対して、甲斐駒ヶ岳は南アルプス北部に位置する標高2,967mの山で、早川や富士川水系に属し、花崗岩質の地質が特徴で、伏流水は主にこれらの岩石層を通過するそうです。
⇒甲斐駒ヶ岳は山頂付近が白く見えます。花崗岩が風化しているためと思われます。

2)水質の比較
ア) 大井川の山岳伏流水
BOD(生物化学的酸素要求量):大井川水系中流域(神座から長島ダム)の水質は、環境基準AA類型(非常に良好、BOD 0.5~0.8mg/L)を満たしており、清冽で汚染が少ないとのこと。

濁度:大井川の上流はフォッサマグナの崩落地帯に位置し、土砂流出が多く、濁水が長期化しやすいようです。特に井川ダム湖や畑薙ダム湖での土砂堆積が影響し、伏流水にも微細な懸濁物質が含まれる可能性があるとのこと。

ミネラル成分:砂岩・泥岩由来の地層を通過するため、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル含有量は比較的低めだが、養鰻業やウイスキー製造(井川蒸溜所)に適した軟水傾向があるそうです。

人為的影響:水力発電ダム(井川ダム、畑薙ダムなど)やリニア中央新幹線工事による地下水流出が懸念されており、流量や水質に影響を及ぼす可能性があるそうです。

利用:養鰻業(吉田町の共水うなぎ)、農業用水、工業用水、飲料水、ウイスキー製造に広く利用されていて、1日50万~80万m³の豊富な伏流水が特徴とされます。

イ)甲斐駒ヶ岳の山岳伏流水
BOD:甲斐駒ヶ岳を含む山梨県の公共用水域や地下水は、水質汚濁防止法に基づく定期調査で良好な状態が報告されている(具体的公開データは限定的)そうで、花崗岩質の地層を通るため、非常に純粋で有機物の少ない軟水が特徴とのこと。

濁度:花崗岩は風化しにくいために土砂や懸濁物質の混入が少なく、透明度が高いそうです。

ミネラル成分:花崗岩由来の伏流水はシリカ(ケイ素)や微量のミネラルを含むが、全体的にミネラル濃度は低く、極めて軟水(硬度20~30mg/L程度)なのだそうです。この水質は日本酒やウイスキー製造(例:サントリー白州蒸溜所)に最適とされるとのこと。

人為的影響:甲斐駒ヶ岳周辺は南アルプス国立公園やユネスコエコパークに指定されており、人為的汚染が少ないそうです。ただし、リニア中央新幹線工事による地下水流出が懸念されているそうです(が、やや距離があるように思われます)。

利用:飲料水(山梨県は「名水の地」として知られる)、日本酒やウイスキー製造、農業用水に利用され、特にサントリー白州蒸溜所のウイスキーは、甲斐駒ヶ岳の伏流水の清冽さを活かした高品質な製品として知られるそうです。

両者の水質の差異を簡潔にまとめると、次のようになります。大井川の山岳伏流水は、環境基準AA類型を満たす清冽な水だが、土砂流出による濁度がやや高め。甲斐駒ヶ岳の伏流水は、花崗岩由来の極めて純粋な軟水で、濁度が低く、飲料水や高級酒製造に適している。

》》》》このシリーズはこちらに続きます(新しく投稿されるとそちらに飛びます)。また、このシリーズの初回はこちらです。ミニシリーズの初回は以下の通りです。
・「ダム
・「本流の変遷」 

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