
1807年にパリを出発する徴集兵とその家族。彼らに食料・被服・装備を供給した請負商人も戦争成金に。こちらから転載させて頂きました。

哲学者の弟も戦争成金の一人に。こちらから転載させて頂きました。
「戦争を無くすためには戦争の本質を理解する必要がある」という考え方に立脚して本シリーズに着手しました。
前回はナポレオン戦争(1803年~1815年)当時の民間軍需産業の具体例を概観しました。
今回は「戦争で巨万の富を得た軍需企業家」と「ナポレオン戦争後にこれら企業がどうなったか」を見てゆきます。
例によってChatGPTに質問する形で調べてみました。
総体としては、「近代的な戦争成金(war profiteer)」と「戦後に生き残った産業資本家/没落した軍需業者」をはっきり分けたのがナポレオン戦争だったようです。
1)戦争で巨万の富を得た軍需企業家
【イギリス】
1-ア)サミュエル・ガルトン(Samuel Galton Jr.、バーミンガム銃工業)
》クエーカー系実業家※で、Galton & Sons の経営者であり、バーミンガム銃工業ネットワークの中心人物だったそうです。
※)クエーカー教徒は当時の平和運動の主役。
》陸軍向けマスケット銃の大量契約で儲けたそうで、フランス革命戦争からナポレオン戦争にかけて受注爆発となったとのこと。
》富の規模については、正確な額は不明だそうですが、地主階級に参入できるレベルの資産を形成したようです。
》個人的には奴隷制や戦争に道徳的葛藤を抱えていたものの、実務としては最大級の軍需業者で、「良心と軍需産業の矛盾」を体現した人物だったようです。
1-イ)キャロン社の経営陣(Carron Company)
》スコットランドの大規模鉄工会社を経営していた人々。実質的には株主資本企業だったそうです。
》海軍向け大砲で儲けたそうで、中でもカロネード砲の独占的供給を行っていたそうです。
》個人よりも株主や経営層が集団的に富を蓄積したようで、 近代の「軍需産業資本」の原型となったとのこと。
1-ウ)サミュエル・ベンサム(Samuel Bentham)
⇒哲学者ジェレミー・ベンサムの弟のようです。
》やや特殊な例のようですが、技術者・発明家として海軍向け設備の機械化を推進した人物だそうです。
》兵器を対象とするのではなく軍需生産設備の近代化に寄与したようで、「戦争を支える技術」で利益を得た層の一人だそうです。
【フランス】
1-エ)フランソワ・ド・ヴェンデル家(De Wendel)
》ロレーヌ地方の鉄工貴族だそうで、フランス革命を生き延びた数少ない実業家一族とのこと。
》国家向け大砲や鉄材を供給していて、革命・帝政期を通じて軍需独占を得ていたようです。
》国家契約による安定収入が基本で、政治権力との結びつきが強い「国家と結びついた軍需資本家」という地位にあったようです。
1-オ)国家請負商人(munitionnaires)
》名前が残らないことも多い人々のようですが、食料・被服・装備を軍に供給していたそうです。
》レヴェ・アン・マス(levée en masse)※による超大量調達が契機だったそうです。
※)国民皆兵制(徴兵制度)の先駆けとなった政策(1793年)とのことです。
》品質より数量優先の契約で、革命戦争特有の戦争成金層となったようです。
2)戦後、これら企業・企業家はどうなったか
【イギリス】
》「生き残り、民需産業へ転換した者が多い」というのが結論のようです。
2-ア)銃工業者のその後
》戦後に軍需の激減があり、多くの小規模業者は倒産したそうです。
》他方、有力元請けや技術力の高い企業は、民間銃市場、植民地向け輸出、工具・機械製造へ転換を図ったとのこと。
2-イ)キャロン社のその後
》戦後も存続したものの、鉄道や建築に用いられる鉄材へ転換を図ったそうです。
》ただし19世紀後半には競争に負けてで衰退したようで、戦争依存の限界を示す一例と言えそうです。
2-ウ)軍需資本家の社会的地位
》軍需資本家たちは地主化したり、貴族叙爵を受けたり、議会に進出したりして、「産業ブルジョワジー」として定着したそうです。
【フランスの場合】
》「多くが没落、または国家依存のまま」というのが結論とのこと。
2-エ)軍需企業の戦後崩壊
》帝政崩壊によって国家契約の突然停止が訪れ、外国市場も弱いという状況に陥ったようです。
》その結果、倒産や国営化が相次ぎ、細々と存続するしか選択肢が無かったようです。
2-オ)生き残った例外としてのド・ヴェンデル家
》王政復古後も鉄工業を維持したようで、後ににフランス重工業の中核へ成長した「例外的成功例」。
2-カ)国家工廠のその後
》王政復古の下で再編されたものの、軍縮によって規模縮小されたそうです。
》技術官僚主導体制が維持されたためか、民間主導の産業にはつながりにくかったようです。
3)まとめ
》戦争成金は発生したが、「戦後に市場へ適応できない」者は敗者となったと言えるのではないでしょうか?
現代の我々が得る教訓としては、「軍需に走ったところで、戦後の存続確率は低く、良心の呵責にも苛まれるとなる」と良いことは何も無いとなりますか?
それとも、「良心をかなぐり捨てる犠牲心を発揮するか、自らの成功のみに視野を狭窄させるかして、戦争が無いと困る人を続けますか?」という問いかけを民間軍事企業に提示するべきでしょうか?
次回は、「当時の戦争成金への社会的批判」を取り上げてみたいと考えています。
このシリーズはこちらに続きます(新しく投稿されるとそちらに飛びます)。また、このシリーズの初回はこちらです。「ナポレオン戦争」ミニシリーズの初回はこちらです。他のミニシリーズの初回は以下の通り。
・「フランス革命戦争」
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