
物事の非線形性を一般的に記述するとされるシグモイド曲線。A点とB点は、それぞれ、勃興期と飽和開始期の代表点。細い青線と赤線はそれぞれの接線で刹那の直線思考を表し、黄色の矢印は思惑との差異を示す。

上図のシグモイド曲線の一次微分(黄色曲線)と二次微分(緑色曲線)。刹那の思惑を表す一次微分ではB点がA点に劣るが、二次微分ではA点とB点の符号が逆となり両者の差異が明確化。
本シリーズではリニアモーターカーの分析研究を進めてきました。
今回は「直線思考」について述べ、本シリーズを締めくくりたいと思います。
「直線」は英語の「リニア」に相当しますので、「リニア思考」です。本シリーズにふさわしい論題と言えるでしょう(笑)。
さて、「直線性」は「線形」とも言いますが、その反対は「非線形性」です。「まっすぐではない」という意味です。
私が研究者だった頃に読んだ非線形光学(工学?)の英文教科書には「世の中のすべてのものは非線形である」と前書きがあったことを思い出しました。
その非線形を代表するのが上図の太線のシグモイド曲線というものです。
今回は横軸を時間ないし投資としました。縦軸は成果ないし経済効果です。この特性に異論のある方はあまりおられないと考えられます。
シグモイド曲線の部分を説明してみます。最初(横軸の左端)は「がんばってもなかなか成果がでない、立ち上がらない」という時期です。右に進んむと、やがて、「徐々に立ち上がる」時期を迎え、時間や投資を費やすとそれなりの成果や経済効果が得られる状況が訪れます。そして、さらに右に進むといわゆる「飽和」という現象が現れます。「成熟」と言い換えてもよいかもしれません。右端ではいくら頑張っても成果は増えません。
ここで、図中のA点とB点に注目します。前者は勃興期、後者は飽和期の典型です。前者をブルーオーシャン、後者をレッドシーと言い換えてもよいかもしれません。
それぞれの点に接線を引いてみました。傾きはB点の方がA点よりも大きいようです。一般的にはB点の方が「(刹那の)勢いがある」という表現が相応しいということになります。
それぞれの勢いから判断して時間や投資を加算した後に得られる利得が黄色の矢印で示されています。
A点の近未来(図では右側)では「思ったより利得が大きい」となり、B点の近未来では「思ったより利得が得られない」となります。
現況がA点なのか、B点なのか、ほかの点なのか、その判断は極めて重要です。頑張りや資金の投入の是非が直結するからです。最悪なのは「A点と判断して景気よく頑張ってみたが、実はB点で結果が『骨折り損のくたびれ儲け』だった」という場合です。
二番目の図にはシグモイド曲線の(一次)微分と二次微分を加えてみました。
一次微分は「直線思考」と換言可能でしょうか?二次微分はもう一段深い示唆を与えてくれます。二次微分ではA点とB点の差異は大きく表示されます。前者はプラス、後者はマイナスです。
換言すると、「B点では刹那の勢い(直線性)がA点より勝るが、投資対象としてはNG」という判断が、直線思考よりも深い考察で得られるとなります。
さて、本シリーズ主題のリニアモーターカーですが、諸外国の状況からは「ブルーオーシャン」に見えます。運用例が極めて限られているからです。
が、その他の要因を多角的に分析するとどうでしょうか?鉄輪式鉄道と比較するとどうでしょうか?各国の判断を勘案するとどうでしょうか?私には「直線思考」の典型的結論と思えます。
なお、リニアモーターと直線(リニア)、さらには「思考」に「志向」を、それぞれ掛けて「リニア志向(を刹那的)」と揶揄している訳ではありません(笑)。ただ、リニアモーターカーはすでにB点に位置するのではないかと心の中で考えているのは秘密にしておきます。
このシリーズはこれで一区切りです。読者の皆様は如何思われますか?
このシリーズで「リニアモーターカーは筋の悪い技術」と筆者が考えているのがバレてしまったでしょうか?(笑)。
もちろん、格別のイノベーション技術が生み出されれば話は別です。技術として勃興期にリセットされるでしょう。ですが、従来技術のゴリ押し「やってみなくてもわかることを『やってみないと分からない』と強行する」では飽和期を脱することはできないはずです。
飛行機の例を挙げてみます。ライト兄弟の成功は1903年でした。11年後の1914年には商用旅客飛行が始まっています。「筋の良い技術」というのはこういうものかと。
このシリーズの初回はこちらです。
と締めくくる予定でしたが、こちらに続きます。
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