19cw019: 19世紀の戦争_019 ナポレオン戦争_6 当時の軍需産業

キャロン社の工場にあるモニュメント。ワットの最初の稼働蒸気機関のシリンダーの破片。こちらから転載させて頂きました。

「戦争を無くすためには戦争の本質を理解する必要がある」という考え方に立脚して本シリーズに着手しました。

前回はナポレオン戦争(1803年~1815年)の当初の流れを概観しました。

今回は当時の軍需産業を俯瞰してみます。

今回もChatGPTに質問する形で調査を進めました。

結論から言えば、イギリスは「産業革命初期の『市場×国家』の軍需モデル」だったそうで、フランスは「 近代的『国家総力戦・官僚的軍需国家』の原型」となったようです。

また、武器製造への民間企業の関与は非常に大きく、不可欠だったそうです。ただしその関与の「形」が、イギリスとフランスでかなり違うという点が重要なのだそうです。

以下では、それぞれの形態を見てゆきます。

1)当時の民間企業
》現代の株式会社とは異なる形態で民間企業(製造業者)が存在したようです。個人経営・家族経営の工房、パートナーシップ(合名会社的形態※)、国家と長期契約を結ぶ請負業者(contractor)などだったとのこと。
※)合名会社:出資者全員が会社の債務に対して無制限の責任を負う「無限責任社員」のみで構成される「持分会社」の一種と定義されるようです。
》武器に関しては、総じて、「「国家が発注し、民間が作り、国家が検査して買い上げる」という構図だったようです。

2)イギリスの武器生産
》民間企業の関与は「圧倒的」だったとのこと。
》国家は規格、数量、検査基準を定めるだけで、実際の製造は民間まかせという基本構造だったようです。
2-ア)小火器(鉄砲)
》ほぼ完全に民間が受け持ち、バーミンガム銃工業地帯には数千の職人・小企業が林立し、銃身専門、撃鉄専門、銃床専門などの分担制だったとのこと。
》国家は、兵器局(Board of Ordnance)が規格を指定し、完成品を検査し、合格品のみ買い上げるという役割に徹していて、国営工廠は補完的存在だったそうです。
2-イ)大砲
》鉄製大砲は大半が民間鋳造所で作られていたとのこと。有名な請負業者としてはキャロン社(Carron Company)が挙げられるそうで、この会社はカロネード砲を開発・製造していたようです。
》国家は、設計承認、試射・耐久試験、採用品決定などの役割を受け持っていたとのこと。 技術革新も民間からだったようです。
2-ウ)艦船
》主力艦は国営造船所が受け持ったようですが、フリゲート※や輸送船、および艦船の改装・修理は民間造船所が大量に担当したようです。
※)比較的小型で汎用性の高い艦艇をフリゲートと呼ぶようです。
》他に、帆、索具、滑車、砲架、食料、制服などはほぼ全てが民間企業の受け持ちだったそうです。

3)フランスの武器生産
》民間の関与はあったけれど、「統制下」という基本構造だったようです。兵器国家が直接運営する工廠が中心で、民間は「下請け」または「臨時動員」という位置づけだったとのこと。
3-ア)小火器
》革命以前は都市職人ギルドが製造するという民間の関与だったのが、フランス革命戦争を経て、国家が工廠を掌握し民間職人を「国家工場に編入」するという形になったようです。すなわち、製造機関の所有は国家、労働力は元民間という形です。
3-イ)大砲
》一部の鋳造所は民営のままという形態だったそうです。
》ただし、生産計画、原材料配分、価格は国家が決定するという、名目民営だが実質国営という実態だったとのこと。
3-ウ)艦船
》大型軍艦の製造はほぼ国営。ただし、木材伐採、帆布・索具、大量の部品は民間企業が担っていたそうです。

4)両国の比較
》イギリスでは、民間企業が中核的役割に位置付けられ、分散請負制の生産方式が取り入れられ、技術革新も民間主導であり、市場原理が強く働く形態がとられていたようです。
》対してフランスでは、民間企業の役割は補助であり、集中工廠制の生産方式と国家技師主導の技術開発が主役でした。国家が管理と統制を敷いたため、市場原理は弱いままだったとのこと。
》両国の差異は、イギリスが商業国家であり、議会主義が取り入れられており、すでに初期の産業革命に突入していたのに対して、フランスは絶対王政の遺産に頼りつつ、フランス革命による非常体制下で技術官僚(工兵・砲兵)の影響力が強かったという背景にあるようです。


以上、イギリスの方式が優れているように感ぜられる記述となりましたが、「戦争が無いと困る人々」を民間に大量発生させたという点は見逃せません。その意味では今日に禍根を残す原罪でもあったと言えなくもないことを付記しておきたいと思います。

他方、フランス方式では、「個人の国家統制からの独立・離脱(が可能であれば、、ですが)」が「戦争ビジネスから個人の乖離」に直結するかもしれないと考えたりしました。民生用の蒸気エンジンも作っているけれど大砲も作っているというイギリス企業に務める人に根本的な平和思想を求めるのは困難ではないかとも。

次回は民間の軍需産業の具体例を見てゆきたいと思います。

このシリーズはこちらに続きます(新しく投稿されるとそちらに飛びます)。また、このシリーズの初回はこちらです。「ナポレオン戦争」ミニシリーズの初回はこちらです。他のミニシリーズの初回は以下の通り。
・「フランス革命戦争」  

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