19cw022: 19世紀の戦争_022 ナポレオン戦争_9 戦争成金への社会的批判

バルザック小説で「血を流さないが、他人の血で生きている」人物として描かれたゴプセック。その夫人の様子が挿絵に。こちらから転載させて頂きました。

1820年代のバルザック。こちらから転載させて頂きました。

「戦争を無くすためには戦争の本質を理解する必要がある」という考え方に立脚して本シリーズに着手しました。

前回はナポレオン戦争(1803年~1815年)当時に発生した「戦争で巨万の富を得た軍需企業家」と「ナポレオン戦争後にこれら企業がどうなったか」を俯瞰しました。

軍需産業は継続性においても人間性においても割の合わない商売という結論に至りました。

今回は、ナポレオン戦争期の「戦争成金(war profiteers)」への社会的批判を見てゆきます。

当時の社会不安や価値観の変化をよく映しているそうです。

例によって、ChatGPTに質問する形で調査を進めました。ナポレオン戦争後の1840年頃までを視野に入れて、背景や批判の内容、表現のされ方という流れで整理してもらいました。

1)背景:なぜ「戦争成金」が生まれ、目立ったのか
》フランス革命戦争およびナポレオン戦争(1792–1815)の特徴として次が挙げられるようです。
》》総力戦化が進み大規模な徴兵、長期戦、物資需要の爆発的増加が生じた
》》国家財政が膨張して軍需品調達・兵站・金融が民間に委ねられる部分が拡大した
》》市場経済が浸透して伝統的身分秩序より「金で成功する者」が可視化されるようになった

この特徴の結果、軍需品商人(武器・制服・食糧)、軍への融資を行う銀行家・投機家、占領地での物資供給業者・投機商人などが短期間で巨富を得るようになったようです。


2)社会的批判の中核(共通する論点)
2-ア)「流血の上に築かれた富」への道徳的非難
》最も根本的な批判として、兵士や民衆が苦しみ、命を落とす一方で戦争に直接参加しない者が金儲けをしている構図が顕わとなったとのこと。
》特に「粗悪な物資を高値で納入する軍需商人」は象徴的な悪役とされ、犠牲と利益の非対称性が強い嫌悪感を生み出したようです。

2-イ)伝統的エリート価値との衝突
》それまでの価値観では、名誉・土地・血統・公的奉仕が「正当な富」の源泉と受け入れられていたようです。
》対して、戦争成金は投機・請負・金融といった「非可視的」「非英雄的」手段で成功した者と認識されたとのこと。
》成り上がりで社交界に進出した結果、貴族や旧中産層からは「金はあるが品格がない」「国家に尽くさず私益のみを追う」と批判されたそうです。

2-ウ)社会的不安・格差拡大への恐怖
》フランス革命戦争およびナポレオン戦争の時代とその戦後には、インフレ、食糧不足、失業が常態化し、復員兵の困窮や税負担の増大が生じたようです。
》その中で戦争成金が豪奢な生活を送ることは、階級秩序の動揺や「努力と報酬が釣り合わない社会」への不満の対象となったようです。
⇒もしかすると、以降はこれらが表出しないような仕組みが考えられたのかも、、、しれませんね。


3)国や地域別の特徴
》フランス
》》革命の理念(徳や公共善)との緊張関係が強く、ナポレオン体制下の請負業者と官僚の癒着が批判対象に。
》》王政復古後(1815年以降)に「帝政期に儲けた成金」への反感がさらに強まったそうです。

》イギリス
》》軍需産業や金融(国債、投機)で富を得た層が拡大し、急進派や労働者層からは「戦争は金持ちの利益のため」という主張が拡散されたそうです。
》》さらに、戦後不況(1815年以降)で批判が激化したとのこと。


4)文学や言論における表現(1840年ころまで)
》風刺や小説における典型像として「金はあるが教養・道徳に欠ける人物で、成り上がりで結婚や社交界進出を狙い、愛国心を口にしつつ実は利己的」が頻出したようです。
》例として、フランス革命戦争やナポレオン戦争を描かずとも、バルザック初期作品、イギリスの風刺画・パンフレット、保守派および急進派双方の政治論争などが挙げられるようです。
》 戦争成金は「近代資本主義の歪み」そのものの寓意※として描かれたそうです。
※)他の物事にかこつけ、ほのめかして表したという意味。


5)1840年頃までの変化
》時間の経過とともに「戦争成金」個人への怒りは薄れたそうです。
⇒現代も同じでしょうか?世代が代わると教訓は薄れるようです。
》代わりに金融資本や投機そのものへの構造的批判へ移行し、「戦争で儲けることは道徳的に許されるのか?」という問いが19世紀全体のテーマとして定着したとのこと。


6)まとめ
フランス革命戦争およびナポレオン戦争におけるの戦争成金批判は、「国家的犠牲を私的利益に変える者」への道徳的嫌悪と近代資本主義がもたらす社会秩序の動揺への不安が結びついたものだった、と言えます。
⇒「社会秩序の動揺」は旧来の支配層が最も不安視するはずで、支配層に近い(当時の)メディアが刺激されたという側面があるように思われます。
⇒庶民はどう考えていたのでしょうか?


7)蛇足
》フランスにおける戦争成金批判の流れは現代も続いているようで※、以下のような映画が制作されているようです。
※)本質なので当然かもしれません。
》》『シャドー・ディール 武器ビジネスの闇』(原題:Shadow World)
》2016年(仏・ベルギー・南アフリカ合作のドキュメンタリー)。Andrew Feinsteinの著書を基に、自制心も倫理感もなく武器を売り捌く国際的な軍需産業の闇をジャーナリスティックに描いた作品。
》》『ミックマック』(原題:Micmacs à tire-larigot
》2009年、ジャン=ピエール・ジュネ監督。兵器製造会社によって人生を狂わされた男が、仲間とともにその会社を破滅させようと画策する風刺コメディ。武器商人や軍需産業の愚かさを描いている。
⇒筆者はこの映画を見たことがあります。
》》『ロード・オブ・ウォー』(原題:Lord of War
》2005年、フランス人プロデューサー(フィリップ・ルスレ)が製作に関わった作品。ニコラス・ケイジ演じる武器商人の視点から、冷戦終結後の武器流通の狂気を描いた物語。


次回は、ナポレオン戦争の終戦までの経緯をまとめてみたいと考えています。

その次は、「ナポレオン神話」の罪についてご案内する予定です。

このシリーズはこちらに続きます(新しく投稿されるとそちらに飛びます)。また、このシリーズの初回はこちらです。「ナポレオン戦争」ミニシリーズの初回はこちらです。他のミニシリーズの初回は以下の通り。
・「フランス革命戦争」  

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