
国土交通省による大井川流域図。市町村合併前のもの。大井川水利用自治体まで明記されています。こちらから転載させて頂きました。

静岡県の工業用水ネットワーク。大井川流域がすっぽり抜けています。こちらから転載させて頂きました。
このシリーズでは大井川の徹底的研究を進めています。
前々回から大井川の水が支える産業を見てゆくシリーズを始め、まずは、全体像の俯瞰に着手しました。
前回からは個別の産業について深掘りを試みる調査を行っており、まずは「農業」を対象としました。
今回からは製造業です。
例によって、ChatGPTに質問する形で調査を進めました。
ですが、数回のサラ問を重ねたものの、はっきりとした回答が得られませんでした。
数値が得られない原因を、まずは明らかにしてゆきたいと思います。
製造業は「工業」の範疇ですから、一般的には「工業用水」が利用されます。
そして、静岡県内の工業用水の大半は「静岡県企業局」が整備・管理する工業用水道ネットワークで供給されているということになっています。
この工業用水道ネットワークは全部で六つあり、以下の通りです。
》中遠工業用水道(磐田市・袋井市など:天竜川表流水)
》西遠工業用水道(浜松市周辺:天竜川表流水)
》湖西工業用水道(湖西市:天竜川&豊川系)
》静清工業用水道(静岡市:安倍川系)
》ふじさん工業用水道(富士市・静岡市:富士川)
》柿田川工業用水道(沼津・清水・三島:合流型(主に河川表流水))
一見して分かるのは、大井川流域には「工業用水道ネットワークが存在しない」ということです。伊豆半島も同様です。
この事実は次の推理に行き着きます。
「工場の水源は主に地下水(井戸)および企業個別の供給契約水※が中心」
※)水道事業者に利用申し込みを行い、約款に基づき安全な水を供給してもらう契約のこと。換言すれば、飲用水道ネットワークからの給水ということ。
換言すれば、「豊富な地下水のために工業用水道ネットワークの必要が無かった」と考えられます。
この推定が正しければ「大井川の水が支える製造業」の規模を算出するための推定モデルの構築から着手する必要がありそうです。
ChatGPTの助けを得ながら、以下のように推定モデルを構築してみました。
この作業が容易ではないのは、工業出荷額は経済統計であり、水依存度は水利用統計であるためです。
この二つは別の統計体系で測られているため、統計的に整理された「大井川の水に支えられた出荷額」を示す数値が無いことになります。
【推計の基本モデル】
(1)製造業の水依存度を次の三段階とする。
》高依存(0.6~0.8:食品・飲料・紙・化学)
》中依存(0.3~0.5:機械・金属加工)
》低依存(0.1~0.2:電子機器・輸送機械)
これは田村モデル※など一般的な産業別工業用水依存比率に基づく(国内・海外標準指標類似)とのこと。
※)田村モデル(工業用水依存比率)については、実は単独の「この論文が原典」という形で広く流通しているわけではなく、主に1960~70年代の日本の工業用水研究・工業立地論※※の中で提示・整理された概念だそうです。「田村氏」のフルネームや所属も不明とのこと。原典に近い基礎文献(工業用水研究)は日本工業用水協会『工業用水』とのこと。複数の「田村氏」が寄稿しているようです(笑)。
※※)ちょっと古いかも、、、という印象です。
(2)対象自治体(製造品出荷額統計が得られる主要自治体)を次のようにする。
》島田市
》藤枝市
》焼津市
》吉田町
》牧之原市
※静岡市、川根本町、袋井市、掛川市、菊川市、御前崎市は(取り敢えず)除く。第2バージョンではこれらの市町を含めた概算も試みる予定。
※瀬戸川、朝比奈川などの水も含まれる。
次回は、この推計モデルに従って「大井川の水が支える製造業出荷額」を算出してみます。
》》》》このシリーズはこちらに続きます(新しく投稿されるとそちらに飛びます)。また、このシリーズの初回はこちらです。 「大井川の水が支える産業」ミニシリーズの初回はこちらです。その他のミニシリーズの初回は以下の通りです。
・「ダム」
・「本流の変遷」
・「橋」
・「大井川鐵道の歴史」
・「水源の山々」
・「沢と滝」
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